時流遡航
電脳社会回想録〜その光と翳
第21回
ジャーナリスト 本田成親
2014年2月15日号
AICが終了して3年近く経った10年2月末のこと、旅先にあった私の携帯に1本の電話がかかってきた。相手は、少しかすれるような声で、「本田さん、これは最期のお別れの電話です。長い間本当にありがとうございました。今日はたまたま小康を得ていますので、思い切って電話した次第です」と話しかけてきた。自らの命の炎がほどなく消えるのを覚悟したその人物の口調は、驚くほどに冷静沈着だった。不意を衝かれはしたものの、下手に慌てて感情を昂ぶらせたりせず、ひたすら静かに対応するのが、このような際の相手への最大の思いやりだと咄嗟に判断した私は、ごく自然に相手の言葉に耳を傾け、いつもながらの調子でその相手に語りかけた。
AICが終了して3年近く経った10年2月末のこと、旅先にあった私の携帯に1本の電話がかかってきた。相手は、少しかすれるような声で、「本田さん、これは最期のお別れの電話です。長い間本当にありがとうございました。今日はたまたま小康を得ていますので、思い切って電話した次第です」と話しかけてきた。自らの命の炎がほどなく消えるのを覚悟したその人物の口調は、驚くほどに冷静沈着だった。不意を衝かれはしたものの、下手に慌てて感情を昂ぶらせたりせず、ひたすら静かに対応するのが、このような際の相手への最大の思いやりだと咄嗟に判断した私は、ごく自然に相手の言葉に耳を傾け、いつもながらの調子でその相手に語りかけた。
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