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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

サ高住に住所地特例

東京福祉大学・大学院 副学長 喜多村悦史

2014年1月15日号

 社会保険は「保険」の一種。さまざまな事故や災害から加入者の生命や財産を守るリスク分散の制度である。強制加入であることや、保険料が事故発生確率ではなく応能(所得比例)である点が民間保険とは違うが、保険という仕組みにおいて共通する絶対に譲れない原理原則がある。それは「加入者による相互扶助」ということだ。 ところが、その原理原則を意図的に踏み外したような特例がわが国の社会保険には存在し、嘆かわしいことだが、さらにそれが不可思議にも拡大されようとしている。「住所地特例」という制度だ。 簡単に説明しよう。ご承知の通り国保や介護保険は地域保険であり、原則として住所地の市町村に強制的に加入させられる。その市町村に保険料を納め、給付を受けることになる。だが、介護施設等の入所者については入所前に住んでいた市町村の被保険者になるという特例があり、これを「...  社会保険は「保険」の一種。さまざまな事故や災害から加入者の生命や財産を守るリスク分散の制度である。強制加入であることや、保険料が事故発生確率ではなく応能(所得比例)である点が民間保険とは違うが、保険という仕組みにおいて共通する絶対に譲れない原理原則がある。それは「加入者による相互扶助」ということだ。 ところが、その原理原則を意図的に踏み外したような特例がわが国の社会保険には存在し、嘆かわしいことだが、さらにそれが不可思議にも拡大されようとしている。「住所地特例」という制度だ。 簡単に説明しよう。ご承知の通り国保や介護保険は地域保険であり、原則として住所地の市町村に強制的に加入させられる。その市町村に保険料を納め、給付を受けることになる。だが、介護施設等の入所者については入所前に住んでいた市町村の被保険者になるという特例があり、これを「住所

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