老医師のつぶやき
イレッサ裁判の背景
第21回
吉原忠男(前埼玉県医師会長)
2014年1月1日号
イレッサ裁判の判決が13年4月12日に最高裁で下された。患者さんや遺族の方たちが原告となり、04年7月に大阪地裁と東京地裁が別々に国と製薬会社を訴えた件である。一審では、両地裁とも和解勧告を出したが、被告側が和解拒否を続け、最高裁まで上がった。結局、大阪高裁と東京高裁の判決と同様に、国や製薬会社に責任はない、と患者側の上告が棄却された。 被告アストラゼネカ社が02年1月に抗がん剤「イレッサ」の輸入販売を厚生労働省から承認を受けたときから、なぜ世界でもまだ発売されていないイレッサを日本が認めたか、不思議に思っていた。従来の肺がんの抗腫瘍剤は殺細胞性の毒性があったが、イレッサは分子標的薬剤で効果のある人もいたことや、経口投与で利便性もあり、盛んに使用された。 しかし、副作用の間質性肺炎が多発し、死亡者が続出した。私はいずれ集団訴訟になるだろうと感じ...
イレッサ裁判の判決が13年4月12日に最高裁で下された。患者さんや遺族の方たちが原告となり、04年7月に大阪地裁と東京地裁が別々に国と製薬会社を訴えた件である。一審では、両地裁とも和解勧告を出したが、被告側が和解拒否を続け、最高裁まで上がった。結局、大阪高裁と東京高裁の判決と同様に、国や製薬会社に責任はない、と患者側の上告が棄却された。 被告アストラゼネカ社が02年1月に抗がん剤「イレッサ」の輸入販売を厚生労働省から承認を受けたときから、なぜ世界でもまだ発売されていないイレッサを日本が認めたか、不思議に思っていた。従来の肺がんの抗腫瘍剤は殺細胞性の毒性があったが、イレッサは分子標的薬剤で効果のある人もいたことや、経口投与で利便性もあり、盛んに使用された。 しかし、副作用の間質性肺炎が多発し、死亡者が続出した。私はいずれ集団訴訟になるだろうと感じた。
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