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一筆入魂

震災から2年半、私が雄勝に通う訳

「慰霊碑」に「サライ」の偶然

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2013年12月1日号

 東日本大震災の津波で、壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市雄勝町に、私は今でも通っている。 石巻市と言っても市の中心部から車で行くと30キロはある。震災前は4000人足らずの人口は、今や1000人にも満たない。 かつては町の中心部だった石巻市雄勝総合支所の建物は取り壊され、周辺の家屋もすべて流された。今は、総合支所の駐車場跡に建てられたプレハブ仮設店舗「店こ屋」がひっそりと建っている。 そこから300メートルほどの海辺に、病院はあった。 石巻市立雄勝病院。 津波が押し寄せたとき、40人の入院患者と医師や看護師、職員ら合わせて28人がいた。「患者がいるから逃げられない」と職員は、病院にとどまった。 患者は全員亡くなり、患者と運命をともにした職員のうち、助かったのは、たったの4人だった。 私は、関係者から1年にわたって聞き取った話をまとめたドキュメント「海の見...  東日本大震災の津波で、壊滅的な被害を受けた宮城県石巻市雄勝町に、私は今でも通っている。 石巻市と言っても市の中心部から車で行くと30キロはある。震災前は4000人足らずの人口は、今や1000人にも満たない。 かつては町の中心部だった石巻市雄勝総合支所の建物は取り壊され、周辺の家屋もすべて流された。今は、総合支所の駐車場跡に建てられたプレハブ仮設店舗「店こ屋」がひっそりと建っている。 そこから300メートルほどの海辺に、病院はあった。 石巻市立雄勝病院。 津波が押し寄せたとき、40人の入院患者と医師や看護師、職員ら合わせて28人がいた。「患者がいるから逃げられない」と職員は、病院にとどまった。 患者は全員亡くなり、患者と運命をともにした職員のうち、助かったのは、たったの4人だった。 私は、関係者から1年にわたって聞き取った話をまとめたドキュメント「海の見える

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