From Local to Global 私と公衆衛生
ディオバンの不幸—臨床研究のデータマネジメント
第60回
日本尊厳死協会理事長 岩尾總一郎(元厚労省医政局長)
2013年10月1日号
朝日新聞社発行の週刊誌『AERA』9月9日号に、「ディオバン」問題について本誌記者らが書いた記事が掲載された。今さら、ディオバン事件の概要と問題点を指摘する必要もなかろう。しかし、本誌記者らも述べているように、論文を投稿した研究者は、臨床研究の結果責任をしっかりと負うべきだ。臨床研究のデータマネジメントについて、筆者の経験を述べたい。 慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンターのホームページを開けると、「患者さんにご協力をお願いする内容の違いから、臨床研究は大きく2つに分けることができます」という書き出しで、臨床研究を説明している。簡単に言えば、臨床研究は、臨床試験だけでなく、症例報告や調査も含めた研究を表す言葉。臨床試験は、新薬開発を目的とする治験に限らず、医療に役立つ確かな医学知識を得ることを目的として行われる試験研究、ということ...
朝日新聞社発行の週刊誌『AERA』9月9日号に、「ディオバン」問題について本誌記者らが書いた記事が掲載された。今さら、ディオバン事件の概要と問題点を指摘する必要もなかろう。しかし、本誌記者らも述べているように、論文を投稿した研究者は、臨床研究の結果責任をしっかりと負うべきだ。臨床研究のデータマネジメントについて、筆者の経験を述べたい。 慶應義塾大学医学部クリニカルリサーチセンターのホームページを開けると、「患者さんにご協力をお願いする内容の違いから、臨床研究は大きく2つに分けることができます」という書き出しで、臨床研究を説明している。簡単に言えば、臨床研究は、臨床試験だけでなく、症例報告や調査も含めた研究を表す言葉。臨床試験は、新薬開発を目的とする治験に限らず、医療に役立つ確かな医学知識を得ることを目的として行われる試験研究、ということだ。
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