いまさら聞けない生薬・漢方薬
漢方薬による副作用②
第14回 アリストロキア腎症
名古屋市立大学大学院薬学研究科生薬学分野准教授 牧野利明
2013年9月15日号
漢方薬の副作用に関する医薬品情報で目利きが必要となったケースに、アリストロキア酸腎症があります。今では教科書にも載っているほどの事例ですが、発表された当時は大変な混乱を招きました。 アリストロキア腎症は93年2月に、ベルギーの医師ヴァン・へレヴェッヘムらによって初めて報告されました。ベルギーの診療所で痩せ薬として生薬処方を飲んでいた複数の女性で末期腎不全が発症しました。その健康被害は痩せ薬の処方を変更してから発症するようになったことから、新たに変更された生薬として防已と厚朴が疑われました。この疑われた生薬について実際の処方を分析したところ、厚朴の指標成分であるマグノロールとホノキオールは検出したののの、防已に特徴的な成分のテトランドリンが検出できなかったため、防已の代わりに何か異物が含まれていたことが推定され、そこから「アリストロキア酸」...
漢方薬の副作用に関する医薬品情報で目利きが必要となったケースに、アリストロキア酸腎症があります。今では教科書にも載っているほどの事例ですが、発表された当時は大変な混乱を招きました。 アリストロキア腎症は93年2月に、ベルギーの医師ヴァン・へレヴェッヘムらによって初めて報告されました。ベルギーの診療所で痩せ薬として生薬処方を飲んでいた複数の女性で末期腎不全が発症しました。その健康被害は痩せ薬の処方を変更してから発症するようになったことから、新たに変更された生薬として防已と厚朴が疑われました。この疑われた生薬について実際の処方を分析したところ、厚朴の指標成分であるマグノロールとホノキオールは検出したののの、防已に特徴的な成分のテトランドリンが検出できなかったため、防已の代わりに何か異物が含まれていたことが推定され、そこから「アリストロキア酸」と
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