医薬経済オンライン

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いまさら聞けない生薬・漢方薬

漢方薬が食前投与である理由

第12回

名古屋市立大学大学院薬学研究科生薬学分野准教授 牧野利明

2013年7月15日号

 生薬・漢方薬に含まれる成分の消化管吸収についての話題が続いています。その関連で、多くの医薬品を経口的に摂取するときには「食後投与」となっているのに、なぜ漢方製剤の服用方法が「食前または食間投与」になっているのかを考えてみましょう。  なぜ、多くの医薬品が「食後投与」となっているのでしょうか。  食後というのは、飲食物が消化管のなかに多く存在しているなかに医薬品となる成分がそれに加わるため、医薬品成分の消化管吸収は食事により希釈される分だけ遅くなり、その効果も弱くなると考えられます。それは薬物療法にとっては不利益になると考えられますが、逆に空腹時投与で起こり得る有害事象、例えば、錠剤が胃粘膜に付着して濃い濃度の医薬品成分によって粘膜が障害されることが防げる、といった利点もあります。  一方、漢方薬は単一の化合物ではなく、主に植物に含まれる...  生薬・漢方薬に含まれる成分の消化管吸収についての話題が続いています。その関連で、多くの医薬品を経口的に摂取するときには「食後投与」となっているのに、なぜ漢方製剤の服用方法が「食前または食間投与」になっているのかを考えてみましょう。  なぜ、多くの医薬品が「食後投与」となっているのでしょうか。  食後というのは、飲食物が消化管のなかに多く存在しているなかに医薬品となる成分がそれに加わるため、医薬品成分の消化管吸収は食事により希釈される分だけ遅くなり、その効果も弱くなると考えられます。それは薬物療法にとっては不利益になると考えられますが、逆に空腹時投与で起こり得る有害事象、例えば、錠剤が胃粘膜に付着して濃い濃度の医薬品成分によって粘膜が障害されることが防げる、といった利点もあります。  一方、漢方薬は単一の化合物ではなく、主に植物に含まれる無数

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