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エクスタンディの不幸な「生き別れの兄弟」

第44回

バークレイズ証券株式調査部 関篤史

2013年6月1日号

 学生の頃に受けた特許法の授業で、実験ノートに日付を書く大切さを教わった。私の指導教官からも同様に口酸っぱく実験ノートへの書き方を注意された。彼はアメリカの大学で教授をしていたので今思い返せば、特許に対する意識が高かったのかもしれない。たった数日の違いで、大きく運命が変わってしまった化合物たちのストーリーを紹介したい。 アステラス製薬が米メディベーションと提携し発売している前立腺がん治療剤「エクスタンディ」(一般名=エンザルタミド)は史上最速タイ(推定)の審査速度でFDA(米食品医薬品局)の承認を獲得し米国で上市された。欧州では今年7月にも上市が見込まれ、日本でも14年度の承認が見込まれている。有効性は強力で、去勢抵抗性化学療法後前立腺がん患者(フォースライン)において無増悪生存期間を4.8ヵ月延長した(AFFRIM試験)。副作用は1%未満の頻...  学生の頃に受けた特許法の授業で、実験ノートに日付を書く大切さを教わった。私の指導教官からも同様に口酸っぱく実験ノートへの書き方を注意された。彼はアメリカの大学で教授をしていたので今思い返せば、特許に対する意識が高かったのかもしれない。たった数日の違いで、大きく運命が変わってしまった化合物たちのストーリーを紹介したい。 アステラス製薬が米メディベーションと提携し発売している前立腺がん治療剤「エクスタンディ」(一般名=エンザルタミド)は史上最速タイ(推定)の審査速度でFDA(米食品医薬品局)の承認を獲得し米国で上市された。欧州では今年7月にも上市が見込まれ、日本でも14年度の承認が見込まれている。有効性は強力で、去勢抵抗性化学療法後前立腺がん患者(フォースライン)において無増悪生存期間を4.8ヵ月延長した(AFFRIM試験)。副作用は1%未満の頻度

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