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なぜ「がん幹細胞」は重要なのか

広島大学・大学院医歯薬学保健学研究院教授 田原栄俊

2013年5月15日号

 細胞は、我われの身体を構成する基本単位である。しかし、その基本単位である細胞のDNA情報は同一個人であれば基本的に同一であるにもかかわらず、多様な機能を持ったさまざまな細胞から成っている。上皮系の細胞、間質を構成する繊維芽細胞、神経細胞などさまざまである。 このような細胞が複雑に存在する環境のなかで、細胞のがん化は起こる。がん化が起こった細胞環境(例えば、低酸素状態など)では、その環境によってがんの増殖や性質が異なってくることがわかってきた。そのようながん微小環境のなかで、「がん幹細胞」ががん治療の標的として注目されている。 近年のがん治療薬は、科学的根拠に裏付けられた分子標的薬が主流になってきている。それらのお陰で、細胞の増殖を抑える画期的な抗がん剤の開発も進んできた。しかしその一方で、細胞増殖を抑制して腫瘍の縮小が見られた場合でも...  細胞は、我われの身体を構成する基本単位である。しかし、その基本単位である細胞のDNA情報は同一個人であれば基本的に同一であるにもかかわらず、多様な機能を持ったさまざまな細胞から成っている。上皮系の細胞、間質を構成する繊維芽細胞、神経細胞などさまざまである。 このような細胞が複雑に存在する環境のなかで、細胞のがん化は起こる。がん化が起こった細胞環境(例えば、低酸素状態など)では、その環境によってがんの増殖や性質が異なってくることがわかってきた。そのようながん微小環境のなかで、「がん幹細胞」ががん治療の標的として注目されている。 近年のがん治療薬は、科学的根拠に裏付けられた分子標的薬が主流になってきている。それらのお陰で、細胞の増殖を抑える画期的な抗がん剤の開発も進んできた。しかしその一方で、細胞増殖を抑制して腫瘍の縮小が見られた場合でも、「

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