新薬の市場環境を読む
開発失敗を乗り越え輝く「パルボシクリブ」
第42回
バークレイズ証券株式調査部 関篤史
2013年5月1日号
4月10日にファイザーは、米FDA(食品医薬品局)が経口CDK(サイクリン依存性キナーゼ)4/6阻害剤「パルボシクリブ」(開発コード=PD—0332911)に対して、ブレークスルーセラピー指定を行ったと公表した。 この指定は画期的治療薬に対して、「単剤、他剤との併用により重篤か致命的な疾患や症状の治療を意図した」新薬の開発と審査を加速することを目的としている。既存薬を上回る改善が示唆されることが指定条件になっている。 細胞周期を制御するCDK阻害剤の開発はこれまで長い間続けられてきたが、開発失敗が相次いでおり、決して道のりは平坦ではなかった。そんななかで、ひときわ目立つデータを示すパルボシクリブについて考えてみることにする。 CDK阻害剤は、細胞周期を上手くコントロールすることで、がん細胞の増殖を抑制しようとするのが基本的な概念だ。細胞は、G1期→...
4月10日にファイザーは、米FDA(食品医薬品局)が経口CDK(サイクリン依存性キナーゼ)4/6阻害剤「パルボシクリブ」(開発コード=PD—0332911)に対して、ブレークスルーセラピー指定を行ったと公表した。 この指定は画期的治療薬に対して、「単剤、他剤との併用により重篤か致命的な疾患や症状の治療を意図した」新薬の開発と審査を加速することを目的としている。既存薬を上回る改善が示唆されることが指定条件になっている。 細胞周期を制御するCDK阻害剤の開発はこれまで長い間続けられてきたが、開発失敗が相次いでおり、決して道のりは平坦ではなかった。そんななかで、ひときわ目立つデータを示すパルボシクリブについて考えてみることにする。 CDK阻害剤は、細胞周期を上手くコントロールすることで、がん細胞の増殖を抑制しようとするのが基本的な概念だ。細胞は、G1期→S期
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