時流遡航
電脳社会回想録〜その光と翳
第2回
ジャーナリスト 本田成親
2013年4月1日号
この時代、パソコンは決して安いものではなかった。現在のパソコンに較べればオモチャ以下の性能しかないような機種でさえも40万円前後はした頃のことだから、貧乏研究者の身でそれを何台も持つなど本来は不可能なことだった。だが、幸いと言うべきか、仕事上の関係もあり、私の場合、IT関連企業各社から事実上は無償供与に近い形でマシンを貸与されていたので、自室には常時3〜4台のパソコンが並べ置かれていた。
もっとも、この当時、日本の通信環境はまったく未整備だったので、パソコンのワープロ機能を用いて文章などを書いたとしても、そのデータを回線経由で送信することなど不可能で、原稿はすべて手渡しだった。そもそも、パソコン用の初期日本語ワープロソフトの性能は甚だ低く、不備なところは手書きで補うような有り様で、現在のように必要な図版や図表までを効率よく...
この時代、パソコンは決して安いものではなかった。現在のパソコンに較べればオモチャ以下の性能しかないような機種でさえも40万円前後はした頃のことだから、貧乏研究者の身でそれを何台も持つなど本来は不可能なことだった。だが、幸いと言うべきか、仕事上の関係もあり、私の場合、IT関連企業各社から事実上は無償供与に近い形でマシンを貸与されていたので、自室には常時3〜4台のパソコンが並べ置かれていた。
もっとも、この当時、日本の通信環境はまったく未整備だったので、パソコンのワープロ機能を用いて文章などを書いたとしても、そのデータを回線経由で送信することなど不可能で、原稿はすべて手渡しだった。そもそも、パソコン用の初期日本語ワープロソフトの性能は甚だ低く、不備なところは手書きで補うような有り様で、現在のように必要な図版や図表までを効率よく作
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