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深層

宿命に漂った病院職員の死

3・11〝復興〟の陰でまだ癒えぬ心の傷

ノンフィクション作家 辰濃哲郎

2013年3月1日号

 ぶっきら棒だが、みんなの喜ぶ顔が見たくて、人のために世話を焼く。でも照れ屋だから、それをおくびにも出さない。 そんな男って、時々いる。 宮城県の石巻市立雄勝病院の山田朗薬剤部長(57)にも、そんなところがある。雄勝病院は、医師3人、薬剤師2人、看護師20人という小世帯の療養型の医療施設だ。40病床のほとんどがお年寄りで、ここで最期を迎える患者が少なくない。 04年に石巻市と雄勝町が合併して市立となったが、いわば本家となった市立病院と比べて、職員の待遇に差があった。とくに看護師の給与や夜勤態勢など、雄勝病院の看護師たちの不満は募っていた。 赤字解消の号令がかかるなか、看護師たちの意見は病院上層部には、なかなか通らない。それを代弁してくれるのが山田だ。 雄勝病院に来て12年になる山田は、年齢も院長、副院長、看護部長に次いで高い。看護師たちに代わって幹...  ぶっきら棒だが、みんなの喜ぶ顔が見たくて、人のために世話を焼く。でも照れ屋だから、それをおくびにも出さない。 そんな男って、時々いる。 宮城県の石巻市立雄勝病院の山田朗薬剤部長(57)にも、そんなところがある。雄勝病院は、医師3人、薬剤師2人、看護師20人という小世帯の療養型の医療施設だ。40病床のほとんどがお年寄りで、ここで最期を迎える患者が少なくない。 04年に石巻市と雄勝町が合併して市立となったが、いわば本家となった市立病院と比べて、職員の待遇に差があった。とくに看護師の給与や夜勤態勢など、雄勝病院の看護師たちの不満は募っていた。 赤字解消の号令がかかるなか、看護師たちの意見は病院上層部には、なかなか通らない。それを代弁してくれるのが山田だ。 雄勝病院に来て12年になる山田は、年齢も院長、副院長、看護部長に次いで高い。看護師たちに代わって幹部

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