大学乱立と学力低下の背景 | 医薬経済オンライン

時流遡航

大学乱立と学力低下の背景

第2回

ジャーナリスト　本田成親

2013年2月1日号

　大学設置のプロセスが「事前規制」から「事後評価による認証制」へと転換した03年頃からは、聞き慣れない大学、大学院、学部学科などが続々と新・増設されることになった。その後、実質的には認可を前提とした設置直前の申し訳的な認証制度が導入されたが、大勢には何ら変わりがなかった。昨年末、田中真紀子前文科相が一時不認可の意向を表明した新設予定の公立大学が認可前にもかかわらず施設建設や学生募集をどんどん進めていたのも、過去10年余のうちにそのような流れがすっかり定着してしまっていたからだ。その間に新・増設の申請が不認可になった事例など皆無であり、昨年公立大学新設を申請した当事者らにすれば、不認可になるなどはじめから想定外のことだったのだ。　「科学技術の進歩や複雑多様な社会の変化と産学共同促進を睨んだ迅速な教育機関の新設には、事後評価によ... 　大学設置のプロセスが「事前規制」から「事後評価による認証制」へと転換した03年頃からは、聞き慣れない大学、大学院、学部学科などが続々と新・増設されることになった。その後、実質的には認可を前提とした設置直前の申し訳的な認証制度が導入されたが、大勢には何ら変わりがなかった。昨年末、田中真紀子前文科相が一時不認可の意向を表明した新設予定の公立大学が認可前にもかかわらず施設建設や学生募集をどんどん進めていたのも、過去10年余のうちにそのような流れがすっかり定着してしまっていたからだ。その間に新・増設の申請が不認可になった事例など皆無であり、昨年公立大学新設を申請した当事者らにすれば、不認可になるなどはじめから想定外のことだったのだ。　「科学技術の進歩や複雑多様な社会の変化と産学共同促進を睨んだ迅速な教育機関の新設には、事後評価による

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