この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
治療の“成功”とは
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2013年1月15日号
昨年12月の朝、人気歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが亡くなった。テレビのモーニングショーが速報を流すや、家内は驚いて「若過ぎるわね……」と同世代の死を惜しんだ。「がんが取り切れていなかったのかしら?」。勘三郎さんの食道がん手術は公知のことだったから、この疑問は的外れではない。だが死因は「急性呼吸窮迫症候群」。「どうして肺炎なの?」と家内。昨年の死亡順位で、肺炎が脳血管疾患を抜いて3位になったことは周知のことだが、昔と違って、肺炎と言えば体力や免疫力が衰えた超高齢者に限定の病気というのが現代のイメージだ。 死因の謎は、ショーの司会者が読み上げた家族のコメントで氷解した。該当部分はこうだ。「中村勘三郎は7月27日、患った食道がんの手術をして頂きました。12時間に及ぶ大手術となりましたが、手術は成功し(太字筆者)、術後経過も順調で病棟内を歩...
昨年12月の朝、人気歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが亡くなった。テレビのモーニングショーが速報を流すや、家内は驚いて「若過ぎるわね……」と同世代の死を惜しんだ。「がんが取り切れていなかったのかしら?」。勘三郎さんの食道がん手術は公知のことだったから、この疑問は的外れではない。だが死因は「急性呼吸窮迫症候群」。「どうして肺炎なの?」と家内。昨年の死亡順位で、肺炎が脳血管疾患を抜いて3位になったことは周知のことだが、昔と違って、肺炎と言えば体力や免疫力が衰えた超高齢者に限定の病気というのが現代のイメージだ。 死因の謎は、ショーの司会者が読み上げた家族のコメントで氷解した。該当部分はこうだ。「中村勘三郎は7月27日、患った食道がんの手術をして頂きました。12時間に及ぶ大手術となりましたが、手術は成功し(太字筆者)、術後経過も順調で病棟内を歩くほ
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