この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
特定保健指導のあり方
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2012年12月15日号
「どうしてもいらっしゃれないなら、こちらから伺います」 借金取りではない。直々に拙宅まで健康指導をしに来て下さるというのだ。しかも無料で。世話焼きな世になったものである。 賃金生活者は毎年、職場で健康診断を受ける。労働安全衛生法で規定された定期健康診断(事業主健診)だ。内容は、年齢によって若干の違いはあるが、レントゲン撮影、採尿、採血、血圧測定など。 08年からは40歳以上を対象とした特定健康診査が始まった。俗に言う「メタボ健診」である。06年医療制度改革の一環として、すべての医療保険運営者に実施が義務づけられたもので(従って被扶養者も無職者も対象となる)、内臓脂肪症候群=メタボリックシンドロームとの判定が出た者については、保健師らによる指導=特定保健指導を受けさせなければならないという決まりだ。 それでボクが、冒頭の出張訪問指導の申し出を受...
「どうしてもいらっしゃれないなら、こちらから伺います」 借金取りではない。直々に拙宅まで健康指導をしに来て下さるというのだ。しかも無料で。世話焼きな世になったものである。 賃金生活者は毎年、職場で健康診断を受ける。労働安全衛生法で規定された定期健康診断(事業主健診)だ。内容は、年齢によって若干の違いはあるが、レントゲン撮影、採尿、採血、血圧測定など。 08年からは40歳以上を対象とした特定健康診査が始まった。俗に言う「メタボ健診」である。06年医療制度改革の一環として、すべての医療保険運営者に実施が義務づけられたもので(従って被扶養者も無職者も対象となる)、内臓脂肪症候群=メタボリックシンドロームとの判定が出た者については、保健師らによる指導=特定保健指導を受けさせなければならないという決まりだ。 それでボクが、冒頭の出張訪問指導の申し出を受けた
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