医薬経済オンライン

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老医師のつぶやき

愛読書と国政選挙

第8回

吉原忠男(前埼玉県医師会長)

2012年12月1日号

 若い頃、「気狂いピエロ」という映画を見て、私がある愛読書を見つけるきっかけとなった。 1965年製作で、監督はジャン・リュック・ゴダール、主演はジャン・ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナだ。「気狂い」という言葉はもう精神科でも一般にも使わなくなったが、差別用語の自粛で自縄自縛となった感はある。 題はともかく、この映画は光と言葉の洪水で、浮気、情婦の裏切り、殺人、ダイナマイトによる主人公の自殺、などが描かれ、しんみりともう一度見たくなるようなものではない。評論家の評価では1967年度年間第5位だったが、興行成績はベストテンにも入らなかった。 私が気に入ったのは、主人公が時々読むエリ・フォール著の『世界絵画史』の文だった。 例えば、ヴェラスケスに関する項目、「彼は50歳になっても、もはやひとつとして決定的な事物を描こうとしなかった。彼は対象の周囲...  若い頃、「気狂いピエロ」という映画を見て、私がある愛読書を見つけるきっかけとなった。 1965年製作で、監督はジャン・リュック・ゴダール、主演はジャン・ポール・ベルモンドとアンナ・カリーナだ。「気狂い」という言葉はもう精神科でも一般にも使わなくなったが、差別用語の自粛で自縄自縛となった感はある。 題はともかく、この映画は光と言葉の洪水で、浮気、情婦の裏切り、殺人、ダイナマイトによる主人公の自殺、などが描かれ、しんみりともう一度見たくなるようなものではない。評論家の評価では1967年度年間第5位だったが、興行成績はベストテンにも入らなかった。 私が気に入ったのは、主人公が時々読むエリ・フォール著の『世界絵画史』の文だった。 例えば、ヴェラスケスに関する項目、「彼は50歳になっても、もはやひとつとして決定的な事物を描こうとしなかった。彼は対象の周囲を、

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