医薬経済オンライン

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「いい医者」ほど救われない現実

『終の信託』、医療と司法の折り合いは

2012年11月15日号

「体中に針や管を刺されて、何もできないで、どうして生かされていなければならないんですか!医者や家族が、責任を逃れるためですか。本人のために、本当に何がいいのか、何をしてあげなければいけないのか。誰も責任を取らないんですか!」 「そう考えて、あなたは江木信三を死なせた。そうなんだな?」  人工呼吸器外しを巡る、医師と検事の対決。10月末から公開された映画『終の信託』(周防正行監督)の一場面だ。  大沢たかお演じる検事は、草刈民代演じる女医を執拗に追い詰める。彼女の全霊をかけた釈明を木で鼻を括ったようにやり過ごし、医学の専門知識の開陳を禁じて反論の芽を摘み取り、予め描かれたストーリーに供述を合わせようと、宥めすかし怒鳴りつけた。  女医・折井綾乃は、主治医として関わった予後の悪いひとりの喘息患者(役所広司)から、「『そのとき』が来たら、早く楽にし... 「体中に針や管を刺されて、何もできないで、どうして生かされていなければならないんですか!医者や家族が、責任を逃れるためですか。本人のために、本当に何がいいのか、何をしてあげなければいけないのか。誰も責任を取らないんですか!」 「そう考えて、あなたは江木信三を死なせた。そうなんだな?」  人工呼吸器外しを巡る、医師と検事の対決。10月末から公開された映画『終の信託』(周防正行監督)の一場面だ。  大沢たかお演じる検事は、草刈民代演じる女医を執拗に追い詰める。彼女の全霊をかけた釈明を木で鼻を括ったようにやり過ごし、医学の専門知識の開陳を禁じて反論の芽を摘み取り、予め描かれたストーリーに供述を合わせようと、宥めすかし怒鳴りつけた。  女医・折井綾乃は、主治医として関わった予後の悪いひとりの喘息患者(役所広司)から、「『そのとき』が来たら、早く楽にして

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