時流遡航
ノーベル賞発表の時節が終わって
第1回
ジャーナリスト 本田成親
2012年11月15日号
山中伸弥京都大学教授へのノーベル医学生理学賞授与が発表になると、国内メディアはお決まりのように大騒ぎを繰り広げた。また、世界に先駆けiPS細胞技術を臨床応用することに成功したとの怪論文までが公表され、それを真に受けた一部の大手メディアが誤報騒ぎまで起こすという異常事態へと発展した。だが、これまたいつものことながら、それから1ヵ月が経った今では、その騒動もすっかり忘れ去られようとしている。ノーベル賞授与式が催される折にもう一騒ぎ起こりはするだろうが、それとても一過性のものになるに違いない。そうしてみると、山中氏のノーベル賞受賞問題の背景を絶賛一辺倒の視線とは異なる角度から考察するには今がほどよい時節であるのかもしれない。
受賞決定直後の会見で、山中氏は、「まさに日本という国が受賞した賞だと感じています」とその喜びを語り、...
山中伸弥京都大学教授へのノーベル医学生理学賞授与が発表になると、国内メディアはお決まりのように大騒ぎを繰り広げた。また、世界に先駆けiPS細胞技術を臨床応用することに成功したとの怪論文までが公表され、それを真に受けた一部の大手メディアが誤報騒ぎまで起こすという異常事態へと発展した。だが、これまたいつものことながら、それから1ヵ月が経った今では、その騒動もすっかり忘れ去られようとしている。ノーベル賞授与式が催される折にもう一騒ぎ起こりはするだろうが、それとても一過性のものになるに違いない。そうしてみると、山中氏のノーベル賞受賞問題の背景を絶賛一辺倒の視線とは異なる角度から考察するには今がほどよい時節であるのかもしれない。
受賞決定直後の会見で、山中氏は、「まさに日本という国が受賞した賞だと感じています」とその喜びを語り、日本
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