技術革新と製薬企業の明日
iPS細胞臨床応用に立ちはだかる数々の難問
第28回
生島准
2012年11月15日号
06年の論文発表来、いつかは受賞すると言われていた京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長のノーベル賞受賞は、今年はスタチン開発者のバイオファーム研究所社長の遠藤章・東京農工大学名誉教授だと思い込んでいた本人自身の予想すら上回る早さだった。 今まで不可能と考えられていた、細胞の分化・発生を人為的に逆流させ、生命の始まりである受精卵と同等な万能性を取り戻させる“初期化”という現象を発見したことが受賞理由である。誰でも、いつでも、細胞の段階なら山中所長が発見したたった4種類の遺伝子を導入するだけで初期化できる。死という恐怖から逃れ得なかった人間の宿痾から、少なくとも細胞レベルなら、光を解き放った研究成果だった。 ノーベル賞受賞によって、iPS細胞研究は第2段階に入った。単なるお祭り騒ぎではなく、患者さんを治癒させる再生医療や細胞医薬の実現をめざす...
06年の論文発表来、いつかは受賞すると言われていた京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥所長のノーベル賞受賞は、今年はスタチン開発者のバイオファーム研究所社長の遠藤章・東京農工大学名誉教授だと思い込んでいた本人自身の予想すら上回る早さだった。 今まで不可能と考えられていた、細胞の分化・発生を人為的に逆流させ、生命の始まりである受精卵と同等な万能性を取り戻させる“初期化”という現象を発見したことが受賞理由である。誰でも、いつでも、細胞の段階なら山中所長が発見したたった4種類の遺伝子を導入するだけで初期化できる。死という恐怖から逃れ得なかった人間の宿痾から、少なくとも細胞レベルなら、光を解き放った研究成果だった。 ノーベル賞受賞によって、iPS細胞研究は第2段階に入った。単なるお祭り騒ぎではなく、患者さんを治癒させる再生医療や細胞医薬の実現をめざす、地
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