2012年診療報酬改定の解体新書・概説
在宅医療に賭けた「死に場所」不足問題
最終回
2012年11月1日号
数年来、医療・介護のセミナーやシンポジウムで頻繁に映し出されるスライドがある。わが国の死亡者数を死亡場所別に分類した将来推計のグラフだ(図1)。仮に医療機関の病床を今後増減なしとした場合、老人保健施設や特別養護老人ホームの定員を2倍に増やし、「自宅死」が現行から1.5倍に増えたとしても、「死に場所がない人が年間47万人出現する」という戦慄の将来予測を示したものである。 出所は、厚生労働省保険局の医療課長として12年診療報酬改定を取り仕切った鈴木康裕氏(現・防衛省大臣官房衛生監)が、07年、老人保健課長だった時分に自らの講演用に作成したもの。介護施設や自宅で看取りができるように在宅医療の拡充が必要だ、単独世帯や老々世帯向けに自宅でも病院でも介護施設でもない「第4の場所」(有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅などの居住系施設)が必要だ、とのメッセー...
数年来、医療・介護のセミナーやシンポジウムで頻繁に映し出されるスライドがある。わが国の死亡者数を死亡場所別に分類した将来推計のグラフだ(図1)。仮に医療機関の病床を今後増減なしとした場合、老人保健施設や特別養護老人ホームの定員を2倍に増やし、「自宅死」が現行から1.5倍に増えたとしても、「死に場所がない人が年間47万人出現する」という戦慄の将来予測を示したものである。 出所は、厚生労働省保険局の医療課長として12年診療報酬改定を取り仕切った鈴木康裕氏(現・防衛省大臣官房衛生監)が、07年、老人保健課長だった時分に自らの講演用に作成したもの。介護施設や自宅で看取りができるように在宅医療の拡充が必要だ、単独世帯や老々世帯向けに自宅でも病院でも介護施設でもない「第4の場所」(有料老人ホームやサービスつき高齢者住宅などの居住系施設)が必要だ、とのメッセージ
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