医薬経済オンライン

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新薬の市場環境を読む

製薬会社が賭ける「がん幹細胞」への望み

第29回

バークレイズ・キャピタル証券株式調査部 関篤史

2012年10月1日号

 がん幹細胞関連のニュースが続いている。大日本住友製薬は2月にがん幹細胞を目標とする抗がん剤を開発するボストンバイオメディカルを一時金2億ドル、開発・販売マイルストン最大24.3億ドルで買収し、成長中の統合失調症薬「ラツーダ」の特許満了に備えるという戦略的な手を打った。その存在が科学的に立証されつつあるなか、がん幹細胞薬によるイノベーションは起こるのだろうか。 幹細胞はさまざまな細胞に分化できる能力を持つ細胞で、がん幹細胞とは「がんを開始する細胞」という概念である。通常の化学療法剤はがん細胞を目標とするため、がん細胞をすべて死滅させてもがん幹細胞が残存している限りがんは転移、再発する。正常な幹細胞を残しつつ、がん細胞だけでなくがん幹細胞を攻撃できれば、抗がん剤として理想的だ。 がん幹細胞が存在するかどうかは長い間議論となっており、血液がんでは...  がん幹細胞関連のニュースが続いている。大日本住友製薬は2月にがん幹細胞を目標とする抗がん剤を開発するボストンバイオメディカルを一時金2億ドル、開発・販売マイルストン最大24.3億ドルで買収し、成長中の統合失調症薬「ラツーダ」の特許満了に備えるという戦略的な手を打った。その存在が科学的に立証されつつあるなか、がん幹細胞薬によるイノベーションは起こるのだろうか。 幹細胞はさまざまな細胞に分化できる能力を持つ細胞で、がん幹細胞とは「がんを開始する細胞」という概念である。通常の化学療法剤はがん細胞を目標とするため、がん細胞をすべて死滅させてもがん幹細胞が残存している限りがんは転移、再発する。正常な幹細胞を残しつつ、がん細胞だけでなくがん幹細胞を攻撃できれば、抗がん剤として理想的だ。 がん幹細胞が存在するかどうかは長い間議論となっており、血液がんではその

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