歯科からの提言 古くて新しい病巣疾患
実践する「上流医療」
第4回
相田歯科クリニック院長 歯学博士 相田能輝
2012年10月1日号
「上流医療」を理解するための象徴的なエピソードがある。 宮城県気仙沼市の中心街から車で数十分。舞根湾に流れ込む大川の河口に畠山重篤氏の経営する牡蠣とホタテの養殖場、「水山養殖場」がある。畠山氏が海の異変に気づいたのは70年前後のこと。夏に赤潮が発生し魚がとれなくなったのだ。「赤潮が湾の奥から発生するということは排水による川の汚れではないか」と畠山氏は思った。84年、フランスの代表的な牡蠣生産地に視察に行くと、現地の養殖場は気仙沼と同じようにローヌ川やシャロンド川などの河口域にある。畠山氏は牡蠣の養殖には改めて川が重要だと確信した。 しかし、宮城県は88年に新月ダム建設計画を発表。「これができたら気仙沼は死んでしまう」と、悩んだ末に畠山氏が辿り着いた結論は、大川の上流の室根山に木を植えることだった。この提案に70人の漁師が賛同し89年に「牡蠣の森...
「上流医療」を理解するための象徴的なエピソードがある。 宮城県気仙沼市の中心街から車で数十分。舞根湾に流れ込む大川の河口に畠山重篤氏の経営する牡蠣とホタテの養殖場、「水山養殖場」がある。畠山氏が海の異変に気づいたのは70年前後のこと。夏に赤潮が発生し魚がとれなくなったのだ。「赤潮が湾の奥から発生するということは排水による川の汚れではないか」と畠山氏は思った。84年、フランスの代表的な牡蠣生産地に視察に行くと、現地の養殖場は気仙沼と同じようにローヌ川やシャロンド川などの河口域にある。畠山氏は牡蠣の養殖には改めて川が重要だと確信した。 しかし、宮城県は88年に新月ダム建設計画を発表。「これができたら気仙沼は死んでしまう」と、悩んだ末に畠山氏が辿り着いた結論は、大川の上流の室根山に木を植えることだった。この提案に70人の漁師が賛同し89年に「牡蠣の森を慕
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