薬剤経済学
有効性比較研究の実際
第64回 慢性的心不全の管理—ワルファリン対アスピリン(下)
2012年8月15日号
心収縮が正しいリズムを刻めず、左心室駆出分画率(LVEF)の落ちた心不全患者の管理はワルファリンとアスピリンのどちらが適しているか、ごく一般的な疾患、現役最古参の治療薬でさえよくわかっていなかった事実は、有効性比較研究が求められる切実さを浮き彫りにしている。本間俊一氏(コロンビア大)らによる国際研究WARCEFは、ランダム化直接比較としてワルファリンは脳卒中を減らすが、出血リスクが高く、ほとんど差がないと結論づけた(「心不全と洞律動を抱える患者におけるワルファリンvsアスピリン」ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン2012年5月17日)。 明快な根拠はないが、心臓病患者には塞栓イベント防止効果の高いワルファリンが1次選択薬と受け止められてきた。しかし、心房細動や心臓弁膜症の患者を中心にした研究結果は、洞律動の心不全患者には適用でき...
心収縮が正しいリズムを刻めず、左心室駆出分画率(LVEF)の落ちた心不全患者の管理はワルファリンとアスピリンのどちらが適しているか、ごく一般的な疾患、現役最古参の治療薬でさえよくわかっていなかった事実は、有効性比較研究が求められる切実さを浮き彫りにしている。本間俊一氏(コロンビア大)らによる国際研究WARCEFは、ランダム化直接比較としてワルファリンは脳卒中を減らすが、出血リスクが高く、ほとんど差がないと結論づけた(「心不全と洞律動を抱える患者におけるワルファリンvsアスピリン」ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン2012年5月17日)。 明快な根拠はないが、心臓病患者には塞栓イベント防止効果の高いワルファリンが1次選択薬と受け止められてきた。しかし、心房細動や心臓弁膜症の患者を中心にした研究結果は、洞律動の心不全患者には適用できない
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