時流遡航
原子力発電所問題の根底を探る
第6回
ジャーナリスト 本田成親
2012年6月15日号
93年当時、「原発銀座」とも呼ばれていた若狭路を訪ねる機会のあった私は、中立的な立場で原発の実情を取材し、その問題を検証してみようと思い立った。同行者とともに指定された時刻に大飯原発PR館に出向くと、「大飯原発広報課長」を名乗る人物が現れ、我われをロビー脇の接客室に通してくれた。その人物は30分ほどをかけて大飯原発の概要をレクチャーしてくれたのだが、その事前レクチャーの運びには些か解しかねる点があった。一連の説明のなかで「安全」という一語が20回ほども鸚鵡返しされたからである。逆効果とも思われるその不自然な話しぶりは、当人が原発のメカニズムを真に理解し、その安全性を心底確信しているわけではないことを明確に物語っていた。端的に言えば、彼は「原発安全神話」のよき語り部を演じていたわけである。
93年当時、「原発銀座」とも呼ばれていた若狭路を訪ねる機会のあった私は、中立的な立場で原発の実情を取材し、その問題を検証してみようと思い立った。同行者とともに指定された時刻に大飯原発PR館に出向くと、「大飯原発広報課長」を名乗る人物が現れ、我われをロビー脇の接客室に通してくれた。その人物は30分ほどをかけて大飯原発の概要をレクチャーしてくれたのだが、その事前レクチャーの運びには些か解しかねる点があった。一連の説明のなかで「安全」という一語が20回ほども鸚鵡返しされたからである。逆効果とも思われるその不自然な話しぶりは、当人が原発のメカニズムを真に理解し、その安全性を心底確信しているわけではないことを明確に物語っていた。端的に言えば、彼は「原発安全神話」のよき語り部を演じていたわけである。
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