この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
生活保護法は大甘?
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2012年6月15日号
吉本興業の売れっ子お笑いタレントの母親が長期に生活保護を不正受給していたことが明るみに出て、同制度の矛盾に対する疑問、批判が一気に噴出している。 事件の概要はいたってシンプル。下積み無給の修業中だった息子を当てにできない母親が、生活保護を申請した。その後、息子は大ブレークして、年収も5000万円を超えるリッチ者になったが、人気商売の常で、いつ人気が下降するかもしれない。母親も一度保護を辞退したら、再度の受給は難しいかもしれないので、指摘があるまで返上手続きをしなかった。 やったことは違法だが、気持ちはわからないでもない。将来への不安は国民全員に共通している。可能なら「自分も」と思う者も少なくないだろう。通院のタクシー代として2億円も役所に支給させていた北海道滝川市の事件などとは問題の質が違う。 だが、行政吏員のデタラメな制度運用の面では共通...
吉本興業の売れっ子お笑いタレントの母親が長期に生活保護を不正受給していたことが明るみに出て、同制度の矛盾に対する疑問、批判が一気に噴出している。 事件の概要はいたってシンプル。下積み無給の修業中だった息子を当てにできない母親が、生活保護を申請した。その後、息子は大ブレークして、年収も5000万円を超えるリッチ者になったが、人気商売の常で、いつ人気が下降するかもしれない。母親も一度保護を辞退したら、再度の受給は難しいかもしれないので、指摘があるまで返上手続きをしなかった。 やったことは違法だが、気持ちはわからないでもない。将来への不安は国民全員に共通している。可能なら「自分も」と思う者も少なくないだろう。通院のタクシー代として2億円も役所に支給させていた北海道滝川市の事件などとは問題の質が違う。 だが、行政吏員のデタラメな制度運用の面では共通し
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