時流遡航
原子力発電所問題の根底を探る
第5回
ジャーナリスト 本田成親
2012年6月1日号
炉心冷却用電源喪失が原因だったとされる78年の米国スリーマイル島原発事故発生後も、日本では「30分以上の電源喪失事故は起こり得ないので、特別な安全対策をとる必要はない」という判断が下された。電力各社は、「これまでの諸条件や諸状況が今後も変わりなく続くとすれば」という大前提のもとにしか成り立たないはずの確率論を絶対的であるかのように振り回し、日本の原発で長時間の全電源喪失やメルトダウンのような重大事故が起こる確率は何千万分の1程度に過ぎないなどとする非論理的な安全論を展開した。それは、確率論の過信や誤用というよりは悪用とでも言うべきもので、一種の確信犯的な行為でもあった。
当然、「原子力ムラ」という異称で呼ばれるようになった原子力発電関連の専門家グループ内にさえも、そんな安易な安全論の展開に反対する者はあったのだが、時代の趨...
炉心冷却用電源喪失が原因だったとされる78年の米国スリーマイル島原発事故発生後も、日本では「30分以上の電源喪失事故は起こり得ないので、特別な安全対策をとる必要はない」という判断が下された。電力各社は、「これまでの諸条件や諸状況が今後も変わりなく続くとすれば」という大前提のもとにしか成り立たないはずの確率論を絶対的であるかのように振り回し、日本の原発で長時間の全電源喪失やメルトダウンのような重大事故が起こる確率は何千万分の1程度に過ぎないなどとする非論理的な安全論を展開した。それは、確率論の過信や誤用というよりは悪用とでも言うべきもので、一種の確信犯的な行為でもあった。
当然、「原子力ムラ」という異称で呼ばれるようになった原子力発電関連の専門家グループ内にさえも、そんな安易な安全論の展開に反対する者はあったのだが、時代の趨勢の
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