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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

国保の保険料滞納

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2012年6月1日号

「国民健康保険の保険料収納率低下傾向が反転し、10年度は改善された」と厚生労働省から発表があった。だが、これには注釈が必要だ。同年には国保保険料の減免措置が拡大されており、その結果として滞納にカウントされなくなった者が多いからだ。それでもなお収納率が88%台と9割を割りこんでいる状況は捨て置けない。 思うに国保の財政問題には2つの側面がある。ひとつは構造的側面だ。12年度全国市町村国保の医療給付費の予算総額は11兆1000億円だったが、それを賄う財源中の保険料収入は3兆1700億円で、3割にも満たない。これでは「保険」とは言い難いのではないか。残りは定率の公費負担やさまざまな名目をつけての補助金、さらには前期高齢者交付金である。 むろん、国保側にも言い分はある。公務員をはじめとする優等雇用者は被用者保険に加入し、自営業者でも開業医や弁護士などは国保組合に抜... 「国民健康保険の保険料収納率低下傾向が反転し、10年度は改善された」と厚生労働省から発表があった。だが、これには注釈が必要だ。同年には国保保険料の減免措置が拡大されており、その結果として滞納にカウントされなくなった者が多いからだ。それでもなお収納率が88%台と9割を割りこんでいる状況は捨て置けない。 思うに国保の財政問題には2つの側面がある。ひとつは構造的側面だ。12年度全国市町村国保の医療給付費の予算総額は11兆1000億円だったが、それを賄う財源中の保険料収入は3兆1700億円で、3割にも満たない。これでは「保険」とは言い難いのではないか。残りは定率の公費負担やさまざまな名目をつけての補助金、さらには前期高齢者交付金である。 むろん、国保側にも言い分はある。公務員をはじめとする優等雇用者は被用者保険に加入し、自営業者でも開業医や弁護士などは国保組合に抜かれ

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