この国につけるクスリ 社会保障よもやま話
高齢社会の縮図
東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史
2012年5月15日号
亡き母の7回忌法要で田舎に帰った。県庁所在地ではないが、のぞみ号が停車する中核都市であり、駅前には新ビル建設のクレーンが林立し、商店街もしっかりシャッターを開けて営業していた。 それはいいのだが、長寿高齢化の現実を肌身で感じることとなった。法要に参列した顔ぶれをみると、故人の兄弟姉妹等は中心年齢が90歳。前回(3回忌)より4年分の齢が加わり、足腰の弱りは見た目にも明らかだ。車椅子姿こそなかったが、誰もが杖を手放せない。比較的元気に見えた最年少の叔父に声をかけたら、「義姉さんのために病院を抜け出してきた」と語るや、息切れしてしまった。 住職の調音に合わせて読経するのがこの地域の慣わし。しかし同音の声が少ない。「みなさん、私が読み間違えないよう、見守っているのですか」と、住職が冗談めかして一同を諌めたが、実はそうではない。高齢者たちは自身の体が...
亡き母の7回忌法要で田舎に帰った。県庁所在地ではないが、のぞみ号が停車する中核都市であり、駅前には新ビル建設のクレーンが林立し、商店街もしっかりシャッターを開けて営業していた。 それはいいのだが、長寿高齢化の現実を肌身で感じることとなった。法要に参列した顔ぶれをみると、故人の兄弟姉妹等は中心年齢が90歳。前回(3回忌)より4年分の齢が加わり、足腰の弱りは見た目にも明らかだ。車椅子姿こそなかったが、誰もが杖を手放せない。比較的元気に見えた最年少の叔父に声をかけたら、「義姉さんのために病院を抜け出してきた」と語るや、息切れしてしまった。 住職の調音に合わせて読経するのがこの地域の慣わし。しかし同音の声が少ない。「みなさん、私が読み間違えないよう、見守っているのですか」と、住職が冗談めかして一同を諌めたが、実はそうではない。高齢者たちは自身の体が倒
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