一筆入魂
訂正してお詫び申し上げます
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2012年5月1日号
朝日新聞の記者として高松支局に配属になって数ヵ月が過ぎた頃だった。
入社と同時に全国の支局に散らばった新人記者は、初任地で警察を担当させられるが通例だった。
記者生活も数ヵ月経つと、交通事故や強盗などの原稿も一人前に書き、それが翌朝の「香川版」に掲載される。交通事故などは1段見出しのベタ記事だが、強盗ともなれば地方版では堂々と3段の見出しがつく。
知らぬうちに一端の新聞記者気取りでいたが、そんなときだった。慢心とは怖いものだ。
高松近郊の田園地帯で、下草が燃え広がって小屋が焼けるボヤがあった。県警の発表資料をもとに、記事を書いた。
だが翌朝、支局に当事者を名乗る男性から電話があった。
下草を焼いていた人の名前と、そのボヤで焼けた小屋の所有者の名前が、逆になっているというのだ。加害者として書かれた男性は、実は被害者だった。
発表資...
朝日新聞の記者として高松支局に配属になって数ヵ月が過ぎた頃だった。
入社と同時に全国の支局に散らばった新人記者は、初任地で警察を担当させられるが通例だった。
記者生活も数ヵ月経つと、交通事故や強盗などの原稿も一人前に書き、それが翌朝の「香川版」に掲載される。交通事故などは1段見出しのベタ記事だが、強盗ともなれば地方版では堂々と3段の見出しがつく。
知らぬうちに一端の新聞記者気取りでいたが、そんなときだった。慢心とは怖いものだ。
高松近郊の田園地帯で、下草が燃え広がって小屋が焼けるボヤがあった。県警の発表資料をもとに、記事を書いた。
だが翌朝、支局に当事者を名乗る男性から電話があった。
下草を焼いていた人の名前と、そのボヤで焼けた小屋の所有者の名前が、逆になっているというのだ。加害者として書かれた男性は、実は被害者だった。
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