時流遡航
原子力発電所問題の根底を探る
第3回
ジャーナリスト 本田成親
2012年5月1日号
アルゴンヌ原子炉学校の第1期研修生だった技術官僚のひとりは1961年にフランスの日本大使館にも派遣され、同国の重水炉や再処理技術関連の研究情報の収集などにも従事した。また、その際にラプソディやフェニックスなどの高速増殖炉研究についても知見を深め、日本独自の高速増殖実験炉「もんじゅ」建設への道筋をつけた。その頃になると国内では動力炉調査団が発足し、原子炉開発課の設置と前後して動力燃料炉開発事業団が設立された。政財界の強い意向を汲んだ当時の中曽根康弘首相が、原子力関係予算の大幅増大へと舵を切ったために、国内各地への原発導入が一気に促進されるようにもなった。
循環冷却剤のナトリウム漏れ事故で現在では進退がままならなくなっている「もんじゅ」も、建造後の航海実験で放射線漏れ(放射能漏れではない)を起こし、最終的には原子炉が撤去された...
アルゴンヌ原子炉学校の第1期研修生だった技術官僚のひとりは1961年にフランスの日本大使館にも派遣され、同国の重水炉や再処理技術関連の研究情報の収集などにも従事した。また、その際にラプソディやフェニックスなどの高速増殖炉研究についても知見を深め、日本独自の高速増殖実験炉「もんじゅ」建設への道筋をつけた。その頃になると国内では動力炉調査団が発足し、原子炉開発課の設置と前後して動力燃料炉開発事業団が設立された。政財界の強い意向を汲んだ当時の中曽根康弘首相が、原子力関係予算の大幅増大へと舵を切ったために、国内各地への原発導入が一気に促進されるようにもなった。
循環冷却剤のナトリウム漏れ事故で現在では進退がままならなくなっている「もんじゅ」も、建造後の航海実験で放射線漏れ(放射能漏れではない)を起こし、最終的には原子炉が撤去された原子
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