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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

被災者の一部負担金免除

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2012年4月15日号

 東日本大震災から1年が経過した。被災の実相を伝える写真展を立て続けに2つ見た。被災直後の生々しい傷跡の様子と、そこから立ち上がろうとする人々の姿。「戦後最大の国難」と形容することは決して過大ではない。「あんな時代もあったね」と、笑って言える日が来ることを痛切に願う。そのためには、相扶共済の精神による連帯が変わらず必要だ。 社会保険は“お互い様”という国民の連帯精神を形にしたものであり、今回の震災に際しても、被災者には受診時の一部負担金免除などの措置が講じられた。住家が全半壊、主生計維持者の死亡・重傷・行方不明・事業休廃止・失職、原発事故区域の避難対象者についてはほぼ1年間、療養の給付が10割(全額)保険者から支給される(一部負担金不要)ことになった。 しかし、その方針確定は2ヵ月近く経ってからのこと。該当者への免除証明書発行は、さらにズレ込ん...  東日本大震災から1年が経過した。被災の実相を伝える写真展を立て続けに2つ見た。被災直後の生々しい傷跡の様子と、そこから立ち上がろうとする人々の姿。「戦後最大の国難」と形容することは決して過大ではない。「あんな時代もあったね」と、笑って言える日が来ることを痛切に願う。そのためには、相扶共済の精神による連帯が変わらず必要だ。 社会保険は“お互い様”という国民の連帯精神を形にしたものであり、今回の震災に際しても、被災者には受診時の一部負担金免除などの措置が講じられた。住家が全半壊、主生計維持者の死亡・重傷・行方不明・事業休廃止・失職、原発事故区域の避難対象者についてはほぼ1年間、療養の給付が10割(全額)保険者から支給される(一部負担金不要)ことになった。 しかし、その方針確定は2ヵ月近く経ってからのこと。該当者への免除証明書発行は、さらにズレ込んだ。

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