一筆入魂
震災1年、現場にとどまった職員の遺志継ぐ
石巻市立雄勝病院の止まった時間を少しずつ
辰濃哲郎
2012年3月1日号
病院前の道路を渡ればすぐに雄勝湾 宮城県石巻市の雄勝湾に面した県道沿いにある鉄筋3階建ての建物が、廃墟のように佇んでいる。
職員、患者合わせて74人が昨年3月11日、東日本大震災の津波に流され、70人が死亡・行方不明になった石巻市立雄勝病院の跡だ。
あれから1年。
雄勝病院の時間は長い間、止まったままだ。
私は震災後の昨年5月以来、ここには何度も足を運んでいる。そのときと比べ、瓦礫はきれいに片付いている。だが院内に入ると、病室の名札も、そのまま残っている。午後3時27分を指したままの壁掛け時計も、病室のベッドも、そして窓から見渡せる凪いだ雄勝湾のさざ波も、まったく変わらないまま、そこにある。
あの日、佐藤文明事務長は市議会の委員会に出席するため、石巻市役所6階にある委員会室にいた。大きな揺れで天井板が落下し、真っ白な埃で視界が遮られるなか、なん...
病院前の道路を渡ればすぐに雄勝湾 宮城県石巻市の雄勝湾に面した県道沿いにある鉄筋3階建ての建物が、廃墟のように佇んでいる。
職員、患者合わせて74人が昨年3月11日、東日本大震災の津波に流され、70人が死亡・行方不明になった石巻市立雄勝病院の跡だ。
あれから1年。
雄勝病院の時間は長い間、止まったままだ。
私は震災後の昨年5月以来、ここには何度も足を運んでいる。そのときと比べ、瓦礫はきれいに片付いている。だが院内に入ると、病室の名札も、そのまま残っている。午後3時27分を指したままの壁掛け時計も、病室のベッドも、そして窓から見渡せる凪いだ雄勝湾のさざ波も、まったく変わらないまま、そこにある。
あの日、佐藤文明事務長は市議会の委員会に出席するため、石巻市役所6階にある委員会室にいた。大きな揺れで天井板が落下し、真っ白な埃で視界が遮られるなか、なんとか
有料会員限定
会員登録(有料)
この記事をお読みいただくためには、会員登録(有料)が必要です。
新規会員登録とマイページ > 購読情報から購入手続きをお願いいたします。
※IDをお持ちの方はログインからお進みください
【会員登録方法】
会員登録をクリックしていただくと、新規会員仮登録メール送信画面に移動します。
メールアドレスを入力して会員登録をお願い致します。
1ユーザーごとの登録をお願い致します。(1ユーザー1アカウントです)
ログイン
会員登録