From Local to Global 私と公衆衛生
保健師は不要なのか
第41回
国際医療福祉大学副学長 岩尾總一郎(元厚労省医政局長)
2012年3月1日号
去る1月15日付の本誌に【保健師なんていらない】というコラムが掲載された。それによれば、保健師は名称独占資格であるにもかかわらず、メタボ健診の保健指導は保健師以外できないと誤解されている。過去はともかく現在の保健師は「3Kのない、医療資格を持った事務官」で、役所や企業で事務作業を行っているにすぎない。そんな保健師はいらないという指摘である。今回は、コラム子の論点を踏まえ、保健師について考えてみたい。
まずは、論点その1の「資格独占」について。
医師の診療行為、薬剤師の調剤業務など、特定の資格や免許がなければその業務を行うことが禁止されるのを業務独占という。一方、名称独占は専門的な資格、業務を識別させ、それに対する社会的な信用力を確保し、相手方との信頼関係の確立や被害の未然防止を目的とする。行政的にはその業務を一定の水準に保つ手段として活...
去る1月15日付の本誌に【保健師なんていらない】というコラムが掲載された。それによれば、保健師は名称独占資格であるにもかかわらず、メタボ健診の保健指導は保健師以外できないと誤解されている。過去はともかく現在の保健師は「3Kのない、医療資格を持った事務官」で、役所や企業で事務作業を行っているにすぎない。そんな保健師はいらないという指摘である。今回は、コラム子の論点を踏まえ、保健師について考えてみたい。
まずは、論点その1の「資格独占」について。
医師の診療行為、薬剤師の調剤業務など、特定の資格や免許がなければその業務を行うことが禁止されるのを業務独占という。一方、名称独占は専門的な資格、業務を識別させ、それに対する社会的な信用力を確保し、相手方との信頼関係の確立や被害の未然防止を目的とする。行政的にはその業務を一定の水準に保つ手段として活用す
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