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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

臍帯血の治療利用

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2012年3月1日号

脳性麻痺という障害がある。胎生期から新生児期にかけて脳が外傷.酸素欠乏などにより損傷を受け、痙攣や麻痺、体の動きや話し方などに恒久的な運動障害の残った状態である。発生率は1000人当たり2人程度。年間100万人が生まれる日本では、毎年2000人の新規患者が発生している計算だ。決して少ない数ではない。これまで長らく、脳性麻痺には根本的治療法がない、とされてきた。だから治療と言えば、専ら運動能力獲得をめざした「早期の機能訓練」を指していた。だが、その“常識”が新技術で覆ることになるかもしれない。「ヒト臍帯血幹細胞輸血治療」。出生時に臍帯血を採取.冷凍保存しておいて、脳性麻痺と診断された場合に幹細胞を取り出して投与する治療法だ。投与された幹細胞が分化して脳の組織を修復し、障害の改善に作用する。米デューク大学で05年以降250以上の実施例があり、子どもの運動能力が大... 脳性麻痺という障害がある。胎生期から新生児期にかけて脳が外傷.酸素欠乏などにより損傷を受け、痙攣や麻痺、体の動きや話し方などに恒久的な運動障害の残った状態である。発生率は1000人当たり2人程度。年間100万人が生まれる日本では、毎年2000人の新規患者が発生している計算だ。決して少ない数ではない。これまで長らく、脳性麻痺には根本的治療法がない、とされてきた。だから治療と言えば、専ら運動能力獲得をめざした「早期の機能訓練」を指していた。だが、その“常識”が新技術で覆ることになるかもしれない。「ヒト臍帯血幹細胞輸血治療」。出生時に臍帯血を採取.冷凍保存しておいて、脳性麻痺と診断された場合に幹細胞を取り出して投与する治療法だ。投与された幹細胞が分化して脳の組織を修復し、障害の改善に作用する。米デューク大学で05年以降250以上の実施例があり、子どもの運動能力が大幅

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