時流遡航
東日本大震災の深層を見つめて
第11回
ジャーナリスト 本田成親
2012年2月1日号
東日本大震災の被害が甚大になってしまった背景には、人間社会及びその構成員である我われ個々人のもつ宿業が見え隠れしている。それは、科学的というよりは社会学的な問題だと言ってよいだろう。一個人が自分の力のみを頼りに生きるには限界があり、生きながらえるには、どうしても他者との連携、すなわち社会組織の形成が不可欠となるし、またそうでなければ伝統文化やそれぞれの地域に固有な歴史などを築き重ねられるはずがない。そして、各地域や各集落に所縁ある文化や歴史は、その地方の地理的な状況や気候風土などと深く結び付いている。だから、海、川、さらにはそれらに隣接する平地などを基盤とする生業に従事する人々が、それまでの生活とは直結しない場所において、しかも平時の状況とは甚だ乖離した特別な安全基準を遵守しながら暮らすというのは、一時的にはともかくも、長期的には極め...
東日本大震災の被害が甚大になってしまった背景には、人間社会及びその構成員である我われ個々人のもつ宿業が見え隠れしている。それは、科学的というよりは社会学的な問題だと言ってよいだろう。一個人が自分の力のみを頼りに生きるには限界があり、生きながらえるには、どうしても他者との連携、すなわち社会組織の形成が不可欠となるし、またそうでなければ伝統文化やそれぞれの地域に固有な歴史などを築き重ねられるはずがない。そして、各地域や各集落に所縁ある文化や歴史は、その地方の地理的な状況や気候風土などと深く結び付いている。だから、海、川、さらにはそれらに隣接する平地などを基盤とする生業に従事する人々が、それまでの生活とは直結しない場所において、しかも平時の状況とは甚だ乖離した特別な安全基準を遵守しながら暮らすというのは、一時的にはともかくも、長期的には極めて難
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