バンコクの精神科病院 | 医薬経済オンライン

アジアの医療に学ぶ

バンコクの精神科病院

第8回

フジ虎ノ門健康増進センター斉尾武郎放射線医学総合研究所分子イメージング研究センター　栗原千絵子

2012年2月1日号

 日本の精神医療の大きな特徴は、精神科の病床数が先進国で図抜けて多いことだ。病床数が多い分、精神疾患の改善に成果を上げているのかと言えば、精神疾患が背景にあって起きることが少なくない自殺が多く、社会問題化している。日本の自殺率は長らく先進国トップであり、データのあるすべての国の中では旧ソ連4ヵ国とハンガリーに次いで世界6位、10万人中24人である（10年、ＷＨＯ）。一方、タイは58位、10万人中7・8人と日本の3分の1だ。医療資源の限られたタイでは、精神医療はどのように営まれているのだろうか。スリタンヤ病院 バンコク都立のスリタンヤ病院は、バンコク中心街から車で1時間ほど行ったタイ中部のノンタブリー県アムプールムアン郡にあり、保健省と隣接する広大な敷地内にある。外来棟の玄関には私たちの来訪を歓迎する掲示板が掲げられ、病院幹部の女性が、美しい花の飾...  日本の精神医療の大きな特徴は、精神科の病床数が先進国で図抜けて多いことだ。病床数が多い分、精神疾患の改善に成果を上げているのかと言えば、精神疾患が背景にあって起きることが少なくない自殺が多く、社会問題化している。日本の自殺率は長らく先進国トップであり、データのあるすべての国の中では旧ソ連4ヵ国とハンガリーに次いで世界6位、10万人中24人である（10年、ＷＨＯ）。一方、タイは58位、10万人中7・8人と日本の3分の1だ。医療資源の限られたタイでは、精神医療はどのように営まれているのだろうか。スリタンヤ病院 バンコク都立のスリタンヤ病院は、バンコク中心街から車で1時間ほど行ったタイ中部のノンタブリー県アムプールムアン郡にあり、保健省と隣接する広大な敷地内にある。外来棟の玄関には私たちの来訪を歓迎する掲示板が掲げられ、病院幹部の女性が、美しい花の飾ら

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