眺望 医薬街道
全患者への明細書提供は再考の余地あり
近藤正觀
2012年1月1日号
10年4月から、保険医療機関や保険薬局に対し、診療内容や投薬内容がわかる「患者向け明細書」の原則無料発行が実施された。この発行について、果たして全患者への発行が必要だったのかどうか、検証したい。 明細書の発行は、中央社会保険医療協議会で、勝村久司委員(現在は退任)が委員就任以来こだわった事項で、患者へ診療内容(もしくは投薬内容)の開示を、レセプト請求明細書とは別に求めるというものだった。勝村委員は、説明のない陣痛促進剤の使用によって子どもを亡くした経験を持ち、医療被害・薬害にまつわる患者代表として中医協委員に05年に就任。医療機関などの情報開示に執念をもって、総会ごとに「明細書の必要性」を強調、患者への無料の文書提供を提案・要請した。 当初は診療側委員の抵抗に遭い、5年の歳月を要したが実現した。医療裁判では「カルテの開示」を巡って紛糾した...
10年4月から、保険医療機関や保険薬局に対し、診療内容や投薬内容がわかる「患者向け明細書」の原則無料発行が実施された。この発行について、果たして全患者への発行が必要だったのかどうか、検証したい。 明細書の発行は、中央社会保険医療協議会で、勝村久司委員(現在は退任)が委員就任以来こだわった事項で、患者へ診療内容(もしくは投薬内容)の開示を、レセプト請求明細書とは別に求めるというものだった。勝村委員は、説明のない陣痛促進剤の使用によって子どもを亡くした経験を持ち、医療被害・薬害にまつわる患者代表として中医協委員に05年に就任。医療機関などの情報開示に執念をもって、総会ごとに「明細書の必要性」を強調、患者への無料の文書提供を提案・要請した。 当初は診療側委員の抵抗に遭い、5年の歳月を要したが実現した。医療裁判では「カルテの開示」を巡って紛糾したこと
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