ドクターかでいの医療の裏技
病院の闇
第12回
かでい伝次郎
2011年12月15日号
本当に嫌な場面に遭遇してしまった。高齢者施設に入所中の認知症患者がぐったりとしてやってきた。化膿性胆管炎を疑ったので外科に対診したのだが、容態がよくない。そこで緊急入院させようとしたが、いつものように空床がなかった。外科医はイライラした調子で、「病棟の“粗大ゴミ”を施設で2個引き取ってくれたら、この人、入院させるから」と、施設や病院の職員の前で言い放ったのだ。私はその後の半日というもの、気分が冴えなかった。外科医の放言を窘めることのできなかった自分の不甲斐なさを恥じたのだ。また、スタッフたちも「私たちがいくら頑張っても、先生があんな様子では……」と意気消沈していた。
外科医の苛立ちは故のないことではなかった。その病院は、昨今の医療訴訟の流行を顧みることもなく、「救急は儲かる」と言って、病院の診療能力を超えた難しい患者を無理に引き取っていた...
本当に嫌な場面に遭遇してしまった。高齢者施設に入所中の認知症患者がぐったりとしてやってきた。化膿性胆管炎を疑ったので外科に対診したのだが、容態がよくない。そこで緊急入院させようとしたが、いつものように空床がなかった。外科医はイライラした調子で、「病棟の“粗大ゴミ”を施設で2個引き取ってくれたら、この人、入院させるから」と、施設や病院の職員の前で言い放ったのだ。私はその後の半日というもの、気分が冴えなかった。外科医の放言を窘めることのできなかった自分の不甲斐なさを恥じたのだ。また、スタッフたちも「私たちがいくら頑張っても、先生があんな様子では……」と意気消沈していた。
外科医の苛立ちは故のないことではなかった。その病院は、昨今の医療訴訟の流行を顧みることもなく、「救急は儲かる」と言って、病院の診療能力を超えた難しい患者を無理に引き取っていた。
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