時流遡航
東日本大震災の深層を見つめて
第7回
ジャーナリスト 本田成親
2011年12月1日号
大槌湾最奥部に位置する鵜住居周辺の被害も大きかった。多くの建物が崩壊流出したなかに辛うじて残る頑強な構造のビルなども、血肉を完全に剥ぎ取られた骸骨さながらに錆び歪んだ鉄骨のみを晒していた。集落地の方々に船腹を剥き出しにして転がる漁船の姿も痛々しかった。鵜住居から半島の付け根を横切って釜石湾側に入ると釜石の街並みが見えてきた。釜石の市街地は広いので一見被害は少なそうに思われたが、そうではなかった。死者・行方不明者は1300人を超え、民家約3200戸が全損した。釜石湾に近い市街中心部は全面停電し、津波による破壊痕跡の残る無人の商店街は放置されたままだった。信号が機能していないので、交差点ごとに警官が立ち通行車両を誘導していた。
異常なほどにパトカーの姿が目についたが、そのほとんどは応援に駆けつけた他府県ナンバーの警察車両だった。北...
大槌湾最奥部に位置する鵜住居周辺の被害も大きかった。多くの建物が崩壊流出したなかに辛うじて残る頑強な構造のビルなども、血肉を完全に剥ぎ取られた骸骨さながらに錆び歪んだ鉄骨のみを晒していた。集落地の方々に船腹を剥き出しにして転がる漁船の姿も痛々しかった。鵜住居から半島の付け根を横切って釜石湾側に入ると釜石の街並みが見えてきた。釜石の市街地は広いので一見被害は少なそうに思われたが、そうではなかった。死者・行方不明者は1300人を超え、民家約3200戸が全損した。釜石湾に近い市街中心部は全面停電し、津波による破壊痕跡の残る無人の商店街は放置されたままだった。信号が機能していないので、交差点ごとに警官が立ち通行車両を誘導していた。
異常なほどにパトカーの姿が目についたが、そのほとんどは応援に駆けつけた他府県ナンバーの警察車両だった。北海
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