医薬経済オンライン

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技術革新と製薬企業の明日

抗体医薬の美質損なう作用機構の単純化戦略

第16回

生島准

2011年11月15日号

 わが世の春を謳歌する抗体医薬だが、なぜ効くのか、必ずしもよくわかっていない。例えば、アバスチン。昨年、FDA(米食品医薬品局)はアバスチンの乳がん適応を取り下げるようジェネンテックに勧告、現在交渉中だ。欧州でも取り下げの圧力がかかっている。迅速審査で認可したものの、その後の第Ⅲ相試験のデータで、充分な薬効を示さなかったと判断されたためだ。今年、適応拡大を認めた日本の厚生労働省とは対照的な結果となった。こうした混乱の背景には、アバスチンが効果を示す患者群が明確でないことがある。 アバスチンは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と結合するヒト化抗体だ。常識的に言われている作用機序は、がん組織内に血管を新生し、がんの増殖を促進するVEGFと結合、血管内皮細胞上にあるVEGF受容体との結合を阻害することだ。しかし、がん患者の血中VEGF濃度とアバス...  わが世の春を謳歌する抗体医薬だが、なぜ効くのか、必ずしもよくわかっていない。例えば、アバスチン。昨年、FDA(米食品医薬品局)はアバスチンの乳がん適応を取り下げるようジェネンテックに勧告、現在交渉中だ。欧州でも取り下げの圧力がかかっている。迅速審査で認可したものの、その後の第Ⅲ相試験のデータで、充分な薬効を示さなかったと判断されたためだ。今年、適応拡大を認めた日本の厚生労働省とは対照的な結果となった。こうした混乱の背景には、アバスチンが効果を示す患者群が明確でないことがある。 アバスチンは血管内皮細胞増殖因子(VEGF)と結合するヒト化抗体だ。常識的に言われている作用機序は、がん組織内に血管を新生し、がんの増殖を促進するVEGFと結合、血管内皮細胞上にあるVEGF受容体との結合を阻害することだ。しかし、がん患者の血中VEGF濃度とアバスチ

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