一筆入魂
震災から半年経てなお、心に傷
消えた公立志津川病院の再建への道筋
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2011年10月1日号
あの大津波で、ひとつの公立病院が、消えた。震災から半年が過ぎても、病院関係者の胸の内には、割りきれない思いが残っている。患者を救えなかったことや、仲間を死なせてしまったことへの悔しさが、今になってこみ上げてくる。病院再建への道は、まだ半ばだ。それでも、地域のために一歩ずつ、着実に前を向いて歩み始めている。
3月11日の震災当日、宮城県南三陸町にある公立志津川病院の横山孝明事務長(58)は、三陸町役場で開会中の町議会にオブザーバーとして出席していた。
かつて経験したことのない大きな揺れに、「間違いなく津波が来る」と確信した。海に向かって約200メートル離れた病院へ、小走りで戻った。
築37年を迎える病院東棟、同じく築27年の西棟は、ともに耐震工事を終えている。停電以外は、思ったほど被害はない。外来患者は20〜30人ほどいた。
「エレベーター内に閉じ...
あの大津波で、ひとつの公立病院が、消えた。震災から半年が過ぎても、病院関係者の胸の内には、割りきれない思いが残っている。患者を救えなかったことや、仲間を死なせてしまったことへの悔しさが、今になってこみ上げてくる。病院再建への道は、まだ半ばだ。それでも、地域のために一歩ずつ、着実に前を向いて歩み始めている。
3月11日の震災当日、宮城県南三陸町にある公立志津川病院の横山孝明事務長(58)は、三陸町役場で開会中の町議会にオブザーバーとして出席していた。
かつて経験したことのない大きな揺れに、「間違いなく津波が来る」と確信した。海に向かって約200メートル離れた病院へ、小走りで戻った。
築37年を迎える病院東棟、同じく築27年の西棟は、ともに耐震工事を終えている。停電以外は、思ったほど被害はない。外来患者は20〜30人ほどいた。
「エレベーター内に閉じ込
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