ラテン転々
夏休みの読書
No.16
三山喬
2011年9月15日号
暇つぶしに読んだ時代小説『銀の島』(山本兼一著、朝日新聞出版)が、思いのほか面白かった。戦国時代、フランシスコ・ザビエルを導いてマラッカから帰国した従者・アンジロウらが、石見銀山を攻め落とそうとするポルトガル商人らと対決する物語である。 荒唐無稽、と言ってしまえばそれまでだが、当時の銀を巡る国際争奪戦は実際、石油資源を巡る今日のそれと匹敵するものだった。現実の〝主戦場〟はカリブ海。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の世界である。 コロンブスによるエスパニョーラ島発見後、コルテスのアステカ帝国(メキシコ)征服とピサロのインカ帝国(ペルー)征服で、スペインは広大な新大陸を手に入れた。新領地が生み出す富の中心は、アンデスの山中、ポトシ(ボリビア)から掘り出される銀だった。 ポトシで掘り出された銀は太平洋岸の都市リマ(ペルー)で船積みされ、...
暇つぶしに読んだ時代小説『銀の島』(山本兼一著、朝日新聞出版)が、思いのほか面白かった。戦国時代、フランシスコ・ザビエルを導いてマラッカから帰国した従者・アンジロウらが、石見銀山を攻め落とそうとするポルトガル商人らと対決する物語である。 荒唐無稽、と言ってしまえばそれまでだが、当時の銀を巡る国際争奪戦は実際、石油資源を巡る今日のそれと匹敵するものだった。現実の〝主戦場〟はカリブ海。映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』の世界である。 コロンブスによるエスパニョーラ島発見後、コルテスのアステカ帝国(メキシコ)征服とピサロのインカ帝国(ペルー)征服で、スペインは広大な新大陸を手に入れた。新領地が生み出す富の中心は、アンデスの山中、ポトシ(ボリビア)から掘り出される銀だった。 ポトシで掘り出された銀は太平洋岸の都市リマ(ペルー)で船積みされ、パナ
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