時流遡航
東日本大震災の深層を見つめて
第1回
ジャーナリスト 本田成親
2011年9月1日号
3月11日、私は東京の自宅の書斎で仕事中だった。突然に襲ってきた大地震の揺れのために、老朽化した2階建て木造家屋は断末魔の悲鳴にも似た音を発して激しく軋み、崩壊寸前の状況に陥った。今にも倒れそうな本棚を片手で支え、もう一方の手をテーブルの角に当てて必死に身体のバランスをとりながら、最悪の事態に至るかもしれないと内心覚悟さえもした。これまで経験したことのないような長い地震の揺れが収まり、家の倒壊だけは辛うじて免れたらしいことを知ると、床一面に散乱する書籍類や調度品などには目もくれずにテレビへと駆け寄った。そして、すぐさまスイッチを入れて画面に見入った。
「震源は宮城県沖。東北地方の太平洋沿岸一帯に大津波警報発令」という緊急報道に尋常ではない気配を感じはしたものの、その時点ではまだそれが想像を絶する一連の大惨事へと進展するなどとは思...
3月11日、私は東京の自宅の書斎で仕事中だった。突然に襲ってきた大地震の揺れのために、老朽化した2階建て木造家屋は断末魔の悲鳴にも似た音を発して激しく軋み、崩壊寸前の状況に陥った。今にも倒れそうな本棚を片手で支え、もう一方の手をテーブルの角に当てて必死に身体のバランスをとりながら、最悪の事態に至るかもしれないと内心覚悟さえもした。これまで経験したことのないような長い地震の揺れが収まり、家の倒壊だけは辛うじて免れたらしいことを知ると、床一面に散乱する書籍類や調度品などには目もくれずにテレビへと駆け寄った。そして、すぐさまスイッチを入れて画面に見入った。
「震源は宮城県沖。東北地方の太平洋沿岸一帯に大津波警報発令」という緊急報道に尋常ではない気配を感じはしたものの、その時点ではまだそれが想像を絶する一連の大惨事へと進展するなどとは思って
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