一筆入魂
停滞する気仙沼漁港復興に一筋の光
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2011年8月15日号
気仙沼市で母親とともに旅館を切り盛りする熊谷浩典さん(42)は、大きな揺れの直後、自分の遊漁船「魚心丸」を沖合へ出した。 気仙沼湾を航行していると、先に出港したはずの漁船が、なぜか引き返してくる。その向こうに、これまで見たこともない真っ黒な波の壁が向かってくる。 このまま突っ込んだら、ひとたまりもない。慌てて舵を切った。 × × × 気仙沼漁港は、全国に13港しかない特定第3種漁港に指定されている漁業の基地だ。マグロやカツオ、サンマだけでなく、サメの水揚げも多い。 延縄漁などで大量に獲れるサメは、ほかの漁港に持っていっても二束三文だが、気仙沼漁港に水揚げすれば高く買い取ってくれる。江戸時代からの「技術」を持つ気仙沼漁港には、フカヒレだけでなく、その身をはんぺんなど...
気仙沼市で母親とともに旅館を切り盛りする熊谷浩典さん(42)は、大きな揺れの直後、自分の遊漁船「魚心丸」を沖合へ出した。 気仙沼湾を航行していると、先に出港したはずの漁船が、なぜか引き返してくる。その向こうに、これまで見たこともない真っ黒な波の壁が向かってくる。 このまま突っ込んだら、ひとたまりもない。慌てて舵を切った。 × × × 気仙沼漁港は、全国に13港しかない特定第3種漁港に指定されている漁業の基地だ。マグロやカツオ、サンマだけでなく、サメの水揚げも多い。 延縄漁などで大量に獲れるサメは、ほかの漁港に持っていっても二束三文だが、気仙沼漁港に水揚げすれば高く買い取ってくれる。江戸時代からの「技術」を持つ気仙沼漁港には、フカヒレだけでなく、その身をはんぺんなどに
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