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論点

医療市場動向から医薬ビジネスを占う

第3回

大阪大学大学院医学研究科医療経済産業政策学教授 田倉智之

2011年7月15日号

 準公共財的な色彩がある医療市場では、高齢化がそのまま医薬ビジネスの収益につながらないことを前回述べた。また、その背景として、医薬品の対価の源泉である医療財源は、少子高齢化により多くの国で診療需要に対して先細る傾向にあることも挙げた。  つまり、医薬ビジネスの持続的な成長には、診療需要の増加に見合う新たな資源投入を促す仕組みが必要だと理解できる。現在、この新たな資源投入が適正かつ円滑に行われていないのはなぜか。多くの要因が複雑に絡み合っており単純に論じるのは難しい。だが、医療セクターの社会的な位置づけを再確認することがひとつの解決の糸口になると推察される。  現在の診療費の多くを負担しているのは、直接的に診療の恩恵を受ける患者・家族とは異なり、一般の国民や企業となる。このように、間接的な受益と負担の関係のもとで医療制度が運営...  準公共財的な色彩がある医療市場では、高齢化がそのまま医薬ビジネスの収益につながらないことを前回述べた。また、その背景として、医薬品の対価の源泉である医療財源は、少子高齢化により多くの国で診療需要に対して先細る傾向にあることも挙げた。  つまり、医薬ビジネスの持続的な成長には、診療需要の増加に見合う新たな資源投入を促す仕組みが必要だと理解できる。現在、この新たな資源投入が適正かつ円滑に行われていないのはなぜか。多くの要因が複雑に絡み合っており単純に論じるのは難しい。だが、医療セクターの社会的な位置づけを再確認することがひとつの解決の糸口になると推察される。  現在の診療費の多くを負担しているのは、直接的に診療の恩恵を受ける患者・家族とは異なり、一般の国民や企業となる。このように、間接的な受益と負担の関係のもとで医療制度が運営され

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