医薬経済オンライン

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技術革新と製薬企業の明日

「低分子化」に突き進む抗体医薬開発

第12回

生島准

2011年7月15日号

 「抗体医薬の大きな欠点は何か、わかりますか?」 英国医学研究協議会のウィンター卿は、逆に質問してきた。卿は遺伝子組換えによる抗体製造技術(ウィンター特許)を開発、抗体医薬という巨大市場を開拓した。その貢献により、エリザベス女王から一代貴族の称号が与えられた。 突然の質問の答えに窮しているうちに、ウィンター卿が教えてくれた抗体医薬の欠点は、分子量の大きさだった。今までの記事で抗体医薬は巨大分子ゆえに、従来の医薬品では不可能だったタンパク質相互作用を調節できる利点を強調してきたが、利点はまた欠点でもあったのだ。「今後、抗体医薬の低分子化が進む」とまで断言した。 抗体医薬は分子量15万の巨大分子だ。血液凝固因子など血液製剤を除き、今まで商品化されてきた医薬品は化学合成によって製造された分子量1000以下の低分子である。低分子医薬の利点は、経口投与...  「抗体医薬の大きな欠点は何か、わかりますか?」 英国医学研究協議会のウィンター卿は、逆に質問してきた。卿は遺伝子組換えによる抗体製造技術(ウィンター特許)を開発、抗体医薬という巨大市場を開拓した。その貢献により、エリザベス女王から一代貴族の称号が与えられた。 突然の質問の答えに窮しているうちに、ウィンター卿が教えてくれた抗体医薬の欠点は、分子量の大きさだった。今までの記事で抗体医薬は巨大分子ゆえに、従来の医薬品では不可能だったタンパク質相互作用を調節できる利点を強調してきたが、利点はまた欠点でもあったのだ。「今後、抗体医薬の低分子化が進む」とまで断言した。 抗体医薬は分子量15万の巨大分子だ。血液凝固因子など血液製剤を除き、今まで商品化されてきた医薬品は化学合成によって製造された分子量1000以下の低分子である。低分子医薬の利点は、経口投与が可

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