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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

死因解析は全例必要

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2011年7月15日号

 警察庁の研究会が4月、「法医解剖制度」という新制度の導入を提言した。簡単に言えば、検視をしてもよくわからない「犯罪死の疑い」の残る死体について、警察は犯罪死の見逃し防止のため、遺族の承諾がない場合でも解剖を実施できる──という制度である。費用は国費。実施のための専門機関「法医学研究所」を、国の機関として全都道府県に段階的に設置する。これにより、異状死体の解剖率を現行の11.2%から、将来的には50%をめざすのだという。 確かに、殺人や傷害致死、過失致死といった犯罪を見逃してはならない。もちろん、死亡した被害者から証言を得ることはできないから、捜査に当たっては死体を検案して死因を探ることになるわけだが、その意味で、犯罪との関連が疑われる死体を発見者が警察に届け出るのは、市民としての義務だろう。 だが、そもそも正確な死因の解明は、犯罪の疑いの有無に...  警察庁の研究会が4月、「法医解剖制度」という新制度の導入を提言した。簡単に言えば、検視をしてもよくわからない「犯罪死の疑い」の残る死体について、警察は犯罪死の見逃し防止のため、遺族の承諾がない場合でも解剖を実施できる──という制度である。費用は国費。実施のための専門機関「法医学研究所」を、国の機関として全都道府県に段階的に設置する。これにより、異状死体の解剖率を現行の11.2%から、将来的には50%をめざすのだという。 確かに、殺人や傷害致死、過失致死といった犯罪を見逃してはならない。もちろん、死亡した被害者から証言を得ることはできないから、捜査に当たっては死体を検案して死因を探ることになるわけだが、その意味で、犯罪との関連が疑われる死体を発見者が警察に届け出るのは、市民としての義務だろう。 だが、そもそも正確な死因の解明は、犯罪の疑いの有無にか

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