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この国につけるクスリ 社会保障よもやま話

医療行為の無過失補償

東京福祉大学・大学院教授 喜多村悦史

2011年7月1日号

 毎年人間ドックを欠かさなかった友人ががんになった。「ちょっと気になる箇所がありますから」と専門病院を紹介されたのだが、診断結果は末期がん。前年の検査時点で発見できなかったことにミスはなかったのか。裁判になればそのあたりが争点になるのだろう。 「今さら争っても判決が出る頃には自分はこの世にいない。余計な神経を使わず、残された時間を静かに過ごしたい」という当人の意向で表沙汰になることはなかった。 ところで、政府の規制・制度改革分科会が「医療行為の無過失補償制度」の導入を提言した。曰く、「誰にでも起こり得る医療行為による有害事象に対する補償を医療の受益者である社会全体が薄く広く負担をするため、医薬品副作用救済制度の対象となっていないワクチンや保険診療全体を対象とする無過失補償制度を導入する」と。 一見いいことを提案しているようだが、多々気に...  毎年人間ドックを欠かさなかった友人ががんになった。「ちょっと気になる箇所がありますから」と専門病院を紹介されたのだが、診断結果は末期がん。前年の検査時点で発見できなかったことにミスはなかったのか。裁判になればそのあたりが争点になるのだろう。 「今さら争っても判決が出る頃には自分はこの世にいない。余計な神経を使わず、残された時間を静かに過ごしたい」という当人の意向で表沙汰になることはなかった。 ところで、政府の規制・制度改革分科会が「医療行為の無過失補償制度」の導入を提言した。曰く、「誰にでも起こり得る医療行為による有害事象に対する補償を医療の受益者である社会全体が薄く広く負担をするため、医薬品副作用救済制度の対象となっていないワクチンや保険診療全体を対象とする無過失補償制度を導入する」と。 一見いいことを提案しているようだが、多々気になる

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