一筆入魂
被災者に助けられた現地取材の1ヵ月
具なしラーメンに文句を言ってしまった私
ノンフィクション作家 辰濃哲郎
2011年5月1日号
3月11日、東日本大震災当日の夕方、上空から撮影した津波の様子が、テレビで放映されていた。
粘り気を帯びた液体が、家屋や船舶を飲み込み、そして田畑の上を奥深く進んで行く。さすがNHKアナウンサーだ。冷静な声で状況を淡々と伝えている。
テレビに釘付けになっていた私は、かつてのイラク戦争の映像を見たときと同じような無機質な感覚に囚われた。戦闘機からミサイルや銃弾が発射され、建物や戦車が次々と破壊される場面を機上から映した、あの映像だ。
だが、立ち上る火炎や煙の下で何が起きているのか、まったく想像がつかなかった。まるでテレビゲームでも見ているかのように感じたのを覚えている。
津波に襲われている現場の生中継を見ても、助けを求める人々の叫び声や逃げ惑う人たちの悲鳴も絶叫も、窺い知ることはできない。
ただ、大変なことが起きていることだけは、わか...
3月11日、東日本大震災当日の夕方、上空から撮影した津波の様子が、テレビで放映されていた。
粘り気を帯びた液体が、家屋や船舶を飲み込み、そして田畑の上を奥深く進んで行く。さすがNHKアナウンサーだ。冷静な声で状況を淡々と伝えている。
テレビに釘付けになっていた私は、かつてのイラク戦争の映像を見たときと同じような無機質な感覚に囚われた。戦闘機からミサイルや銃弾が発射され、建物や戦車が次々と破壊される場面を機上から映した、あの映像だ。
だが、立ち上る火炎や煙の下で何が起きているのか、まったく想像がつかなかった。まるでテレビゲームでも見ているかのように感じたのを覚えている。
津波に襲われている現場の生中継を見ても、助けを求める人々の叫び声や逃げ惑う人たちの悲鳴も絶叫も、窺い知ることはできない。
ただ、大変なことが起きていることだけは、わかっ
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