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眺望 医薬街道

崩壊の危機にある「皆保険制度」

近藤正觀

2011年4月15日号

 61年(昭和36年)の皆保険達成以来、日本の医療保険制度は「世界に冠たる」という枕言葉がついて表現されてきた。しかし、創設50年を経過した現在、厚生労働省は制度疲労の歪みが生じていることを認めざるを得ない状況に陥っている。 健康保険の財源は、保険料、患者の窓口負担、国民の税金の3つしかない。昨今の景気低迷によって、被用者保険の代表である大企業の組合健保で、財政基盤が脆弱な組合の解散が相次ぎ、中小企業を中心とするもうひとつの被用者保険である協会けんぽへと流れた。協会けんぽの被用者負担(会社負担)ができない会社は従業員個人に国保への変更を促す。その結果、被用者保険の被保険者本人でいるべき人が、してもいない自営業を詐称する事態も見受けられる。 例えば、正規雇用ではない「派遣社員」の国保加入。派遣社員の健康保険料は派遣する(所属する)派遣会社が払うべ...  61年(昭和36年)の皆保険達成以来、日本の医療保険制度は「世界に冠たる」という枕言葉がついて表現されてきた。しかし、創設50年を経過した現在、厚生労働省は制度疲労の歪みが生じていることを認めざるを得ない状況に陥っている。 健康保険の財源は、保険料、患者の窓口負担、国民の税金の3つしかない。昨今の景気低迷によって、被用者保険の代表である大企業の組合健保で、財政基盤が脆弱な組合の解散が相次ぎ、中小企業を中心とするもうひとつの被用者保険である協会けんぽへと流れた。協会けんぽの被用者負担(会社負担)ができない会社は従業員個人に国保への変更を促す。その結果、被用者保険の被保険者本人でいるべき人が、してもいない自営業を詐称する事態も見受けられる。 例えば、正規雇用ではない「派遣社員」の国保加入。派遣社員の健康保険料は派遣する(所属する)派遣会社が払うべき

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